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『十九歳の地図』 中上健次

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集金に行った。女が出てくるのが遅い。ムカツク。「犬のように叩き殺されても泣き言をいうな」
「....はい、東京駅ですが...」 「いいか!めちゃくちゃにしてやる!ふっ飛ばしてやる!ふっ飛ばしてやるからな!」
公衆電話から声を押し殺し、あるいは激高し叫ぶ、新聞配達の青年。
配達先の白地図を作り、気に入らない配達先には×印をつけ、制裁を加える。鬱屈した心を吐き出すように。
ちょうど一年前、秋葉原の事件で、歓楽街など人々が楽しく集いそうな箇所に容疑者が地図上に×印をつけていたことをニュースで見たときにこの小説を思い出しました。容疑者が読んでいたかはわかりませんが。
レビューで書いていた人がいましたが、「人間の隠しておきたい負の感情が渦を巻いて存在している」そんな作品です。けして読みやすいとはいえないし、読んでいると気が滅入ってしまうけれど、絶対に最後まで読まなければいけない、という任務みたいなものを感じて、とはいえ読みづらい=つまらないということではなく、本を読むものとして素通りしてはいけない、そんな感じです。
映画化もされてます。

偶然に中上健次の名前を夕刊で拾いました。
「大逆事件」の連載記事で運動家の親類というふうに説明されていて、この小説の表題作とは別の作品を読んで、そんなに古い時代の人ではないのに明治~大正時代の生活雰囲気なのが、生まれ育った環境だったことを今日ほんとに偶然知って、読み終わった直後にこれというのは、なにか偶然ではなく必然だったような気持ちがして、他の作品も読んでみたいと思いました。すぐには無理だけど、この気持ちが薄れないうちに。
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by ruriwo_m | 2009-06-01 23:32 | 本・映画
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