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『私は偽悪者』 山崎晃嗣

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戦後、ヤミ金融「光クラブ」の社長となり一時代を築いた山崎晃嗣の遺書ともいえる自伝書。
東大法学部に現役合格し、全ての罪に対し点数化を行ない、裁判は点数によって判決を言い渡すという、得意の合理主義で研究に没頭していた優の数を競った日々から一転、街角で見つけた怪しげな投資会社に親から預かった大金を騙し取られてから、こんな風に簡単に金儲けできるなら、自分だったらもっとスマートに成功してみせる、と光クラブを設立する。短期間のうちに隆盛を極めたが、税務署に目をつけられ、投獄されてから客の信用を失い、支払いが滞るようになり、期日に現金を用意できないと悟ると計画的に自殺を図り遺書を書き付ける。

戦後の混乱期、こんないかがわしい商売をする人はたくさんいて、客を裏切って逃げてしまうなど当たり前のことだったのに、契約不履行は絶対に許されないことと、自らの命をかけてしまった。生真面目な育ちのよさと、一度決めたことを覆すことのできない融通のなさを感じます。

タイトルの『私は偽悪者』にあるように、ワルであること成功者であることにプライドをかけていながら、ほんとうはとても気が小さく心配性であったようです。
次々と女を変えたことも自信のなさの現れではないでしょうか。
そう、私には自信と不安で揺らいだ日々に疲れての青酸カリ服毒に思えてなりません。

短い一生を駆け抜けたヒト。。。もしかしたら一緒にいたら面倒な人だったかもしれない、けど私にとってはとても魅力的な人に感じます。
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by ruriwo_m | 2010-03-02 14:05 | 本・映画
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