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『青の時代』 三島由紀夫

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いわゆる、「光クラブ事件」を描いた小説です。
屈折した幼年期から、ヤミ金融会社の現役東大生社長として君臨した自意識過剰な青年期までを描いてます。
ラストは青酸カリを持ち歩いているという描写のみで自死まで至っていませんが、主人公の内面に深く沿った内容となっています。
この事件を知っているのと知らずに読むのでは感想がかなり変わってくると思いますが、先に読んだ本から、三島はずいぶん主人公である山崎にシンパシーを感じているのだなと感じます。東大法学部で同窓生だった二人は、他のクラスメイトから自ら離れ、お互い孤独者同士として一目置く存在だったのでしょう。山崎の死後、とりつかれたように資料を集めた片っ端から小説を書いたのだそうで、そのせいで甘くなった構成が本人的にも気に入らなかったようです。
しかし、そこはやはり三島、いくつも名言があります。

『僕は誠心誠意精神的に彼女を愛し続ける。自分をがんじがらめにしておいてくれる観念というべきものを愛しているのだ』
『君はいつも自分をがんじがらめに規定して、そこへ向かってまっしぐらに歩く。決して君は君の自由にはならないんだ』
『君は不潔だ。なぜかというと君は僕を理解しようとする』

自分を縛り、他人を拒否する、そんな息苦しい人物像が私が惹かれるところです。
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by ruriwo_m | 2010-03-07 14:19 | 本・映画
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