ネットで見つけた日記。そこには三枚の画像が貼られていた。 引きつった笑みを浮かべる幼児。 誰をも惹きつける美青年。 そしてまるで生気のない老人の顔をした25歳の同じ人物。 その日記は「恥の多い人生を送ってきました」という一文から始まっていた。 言わずと知れた太宰治の代表作『人間失格』を現代を舞台に焼きなおした作品です。 主人公である大庭葉蔵は、恵まれた裕福な家庭に育ちながらも、人間という生きもの、生きていく術というものがまるでわからず、美形で愛想のよい長所(?)を生かし道化を演じ女に寄生しなんとか生きている日々。そしてなにかに誘われているかのようにどこまでも落ちてゆく。 「一緒に死んでくれないか」 こんな言葉を発せられたら、酸欠起こして心中の前に死んでしまいそう(笑)私が一番憧れる科白だな~。 残念ながら、そんな科白を言ってくれるヒトはいなかったけど。それでも(死も選べるんだ)と教えてくれた、私にとっては大きな心の支えになった小説です。 とはいえ、ずいぶん昔に読んだので、正直ほとんど内容を忘れてしまっていて、とても新鮮な気持ちで読みました。大好きな兎丸さんの絵柄は美しく、時にリアルで怖いほどです。 そして、意外やこの漫画のストーリーが元小説に忠実であることが、生田斗真主演の映画を観てわかりました。アイドル映画(と今でもいうのか)なんで思い切った描写はありませんが、薄暗く明るい昭和初期の街並みや人々の雰囲気がよかったです。 昔小説を読んでストーリーを忘れてしまった方へこの漫画と映画をお薦めします。
by ruriwo_m
| 2010-03-31 23:34
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