カテゴリ:本・映画( 117 )

『星間商事株式会社社史編纂室』 三浦しをん

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中堅商事会社で働く幸代は、BL同人誌の製作とコミケ販売という趣味に身を投じるため、社内閑職である「社史編纂室」に部署換え(リストラ?)される。そこには同じく曰くありの社員たちがぐだぐだと過ごしていた。
社史を調べていくうちに明るみになる会社の暗部。ねじ伏せようとする上部に立ち向かう編纂室。同人誌に同時進行する劇中劇。読み進むにつれてどんどん引き込まれていきます。
なによりヲタクの気持ちをこんなにも表現しているところがいい。心の一番奥にある、これがなければ自分はだめだと思えるほんとに大切なもののために、人は損得や金勘定を度外視して、はたまた人から変人扱いされて、そうやって何かを作り上げていくことの幸せがきっとしをんさんそのものなのだろうと思われる文章で綴られていることに、とてもシンパシーを感じました。

本屋大賞をとった『舟を編む』もたいへん面白かったし賞をとるならやはりこちらだと思いますが、オモシロ度でいえば『星間商事~』をお薦めします。

2009年の発売本ですが、買ったままダンボールの底で眠っていたのを先日掘り起こしてそのまま一気読みしました~。
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by ruriwo_m | 2013-06-06 15:04 | 本・映画

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 村上春樹

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Amazonのレビューを見るとかなり散々な書かれ方をしています。流行で読む人だけでなく、昔からファンだという人も。
ハルキで何を読んだらいいかと尋ねられたら私も以前の小説を薦めると思うし、それらの焼き直し感があるのは否めません。しかし、主人公の抱える問題、あるいはハルキの抱える問題は私にとっては普遍的な課題であり、おそらく人生が終わるその時まで引きずっていくのだと思います。何度も同じ主題を繰り返すことにもまた新たな断面を見せつけられるように感じられます。
私には合っている作品でした。前作の『1Q84』よりも入ってきました。
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by ruriwo_m | 2013-05-05 22:19 | 本・映画

『芥川賞物語』 川口則弘

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日本で一番有名な文学賞、芥川賞っていったい誰がどのように選考しているのでしょう?
第1回から最新の第147回までの受賞作と候補作の紹介と、選考の裏話がとても興味深く読みました。はっきりした規約もなく選考員のその場しのぎな選考基準に振り回される候補作等....それでもやっぱり憧れの芥川賞.....ここもそこも人間ですね~。

ずっと以前に読んで作者もタイトルも忘れてしまった小説が見つかったのが嬉しいです。
川口氏は本来直木賞の研究家だそうなので、そちらの著書も面白そう。

最近書評書いてなかったけど(単に面倒になっちゃって...)最近の私はかなり文学づいてまして、安部公房→中上健次→大江健三郎てかんじ。三人とも芥川賞作家ですね~。
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by ruriwo_m | 2013-03-12 10:38 | 本・映画

レッドデスマスク

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藍峯舎(らんぽうしゃ)という出版社から、乱歩がただ一作ポーの作品を翻訳した『赤き死の假面』が発売されます。届くのが楽しみ!な今日このごろ。
その話題でたった一人で盛り上がっていたら、ちょうど今再放送中の「タイガーマスク」の悪役レスラーが「レッドデスマスク」!!!!
「これ絶対ポーをパクッてる!」と主張する私に
「梶原一騎がそんな難しいこと考えるわけがない。○○デスマスクなんてたくさんいるんだから単なる偶然だ」とダンナに一蹴されプチ喧嘩状態、ていうか、私が勝手に怒ってる。
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by ruriwo_m | 2013-02-04 11:23 | 本・映画

『マゾヒズム小説集』 『犯罪小説集』 谷崎潤一郎

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アマゾンが私に「買え買え」としきりにお薦めしてくるのでつい購入してしまいました。
文豪の名高い谷崎先生ですが、知ってる人は知っている、ただの変態性欲おじさんだということを。彼が文芸界の重鎮というならば日本人て懐が深いな~と思います。まぁ、一般的でないことを変態と言われるのも可愛そうですね。

『マゾヒズム小説集』
んー。ちょっと、というかだいぶ、期待外れでした。谷崎先生心の中をまだ全てさらけ出してないようです。虐められ足の指の間まで舐めまわすイケナイ行為に恍惚となっていく少年の日を描いた『少年』が少しよかったかな。
ともあれ『痴人の愛』『瘋癲老人日記』などのM文学の最高峰が生まれるための一歩がここにあります。

『犯罪小説集』
というわけでこっちはあまり期待しないで読み始めたら、すんごく面白くて読みふけってしましました。異常心理による犯罪は読んでいて作者は乱歩かと思うほどで、まさか乱歩が谷崎先生の真似をしているのかと怪しむくらい。大正の時代の匂いが立ち込め、霧中を彷徨っているのは自分のような気がしてきます。
実は谷崎先生が推理小説を書いていたことを今回まで知らなかったのですが、ほんとに面白かったです。探偵小説とよばれる古いミステリーが好きならばこれはお薦めですよ。
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by ruriwo_m | 2012-06-12 16:39 | 本・映画

『開かせていただき光栄です』 皆川博子

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未だ古い因習が残り偏見に満ちた18世紀ロンドンで、ダニエル先生が開く私的解剖学教室では今まさに墓あばきから買い取った令嬢の死体を切り開こうとしていた、その時に治安判事の手が入る。急いで暖炉の中に令嬢の死体を隠すが、そこにはあるはずのない顔の潰れた死体が.....そして四肢を切断された少年の死体までも出現する。
増えていく死体。天才画家と古代の稀少本。娼婦館。薔薇の館で行われる黒魔術。ロンドンの湿った空気感。

なにやらどろどろした感じですが、意外とそうでもないんです。
どちらかというとユーモア感にあふれる、皆川博子さんにしては珍しいというか、新境地?いや、でも、80歳過ぎてなお新境地ってすごくないですか!ほんとうに尊敬に値します。

嘘をついているのか?嘘をついてると思わせほんとうのことを語っているのか?二転三転する記述に振り回されて、でもそうであってほしいと信じた結末で心から嬉しく思いました。

最後に、私は「エド」派です。だいたいがそうかな?ナイジェルと人気二分しそう。
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by ruriwo_m | 2012-05-31 11:18 | 本・映画

『青の炎』 貴志祐介

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湘南の高校に通う17歳の秀一の頭を悩ませる家の侵入者、母と以前婚姻関係があった男は家に棲みつき平和だった生活を脅かす。母や妹に被害が及ぶのを恐れた秀一は、法に守られない事実を知り、完全犯罪への道をひた走ることになる。。。

優しい家族や心配してくれる友達がいたにも関わらず一人で抱え込み犯罪に手を染めてしまう、知的な計画性と相反する無鉄砲さに若さを感じます。鋭い感覚をもつ彼女が秀一の変化に戸惑ったり不安に思う気持ちが切なくていいです。
あとがきで【倒叙推理(探偵)小説】という言葉を知りました。事件があり、犯人を追い、謎を解いていくのが普通のミステリー小説ですが、この作品のように犯人の視点で事件を追いかけるので心情がとてもリアルです。思えばこういう形式は名前は知らなかったけど元から好きだったな~。乱歩とか桐野夏生さんとかこういうの多いかも。

嵐のニノ主演で映画化されてます。ニノファンの友達から本を借りたのですが、DVDはいいやと断ってごめん。特にニノファンでないので...。あ、でもニノはこういう役合ってると思います。脛に傷を持つ身が似合う。映画DVDもきっと面白いと思いますよ。(観てないけど~)

少し前に『悪の教典』も読みました。これも倒叙形式でした。映画化もされるそうです。ドラマ『鍵のかかる部屋』の原作者でもあるし、旬の作家さんなんですね。
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by ruriwo_m | 2012-05-24 10:53 | 本・映画

『舟を編む』 三浦しをん

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出版社の辞書編集部が舞台です。
新しい辞書が産み出されるまでの物語。。。簡単にいうとそんな話なのですが、辞書作りに命をもかける編集部員達の文系熱血奮闘ぶりがたまらんです。
キャラも全員個性的で漫画のようです。神保町の現代的な出版社の隣の木造家屋で会社のはみ出し者のような辞書編集部や、神楽坂の隠れ家的な料亭などなど、乙女心をくすぐるアイテムも満載です。本屋大賞から映像化は必須ですよね。
個人的に西岡さんが好きです。本を読んだり辞書を作ったりすることしか能のない?他のことにはまったく疎い馬締(まじめ)さんに対し、何かに夢中になることなくそつなく人生を渡ってきたつもりが馬締さんの奮闘ぶりに激しく嫉妬を覚える西岡さん。ここが一番泣けました。なのに対外的な交渉はアイツ苦手だから...と部署移動の前にこっそり段取りをつけていく心憎さ。いい奴だな~~。
本屋大賞は本来埋もれた作家を見いだし世に送り出すために作られた賞ですが、最近は主旨から外れている感がしますよね。でもしをんさんは大好きな作家さんなのでやっぱりとても嬉しいです。今まで読んだことがない人にもこれを機に読んでもらいたいです。
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by ruriwo_m | 2012-05-23 11:17 | 本・映画

『噂』 萩原浩

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「ニューヨークから黒いマントを着た殺人鬼がやってきていて女の子が一人で歩いていると襲われて足首きられちゃうんだって。でも香水「ミリエル」をつけてると大丈夫らしいよ」
新発売される香水の販促キャンペーンとしてある噂が流された。「ミリエル」は爆発的に売れたが、足首が切られた女子高生の死体が見つかる。

最近読んだミステリーの中で一番面白かったです。
真犯人はわかったのですがそこに気を取られて、伏線はたくさんあったのに思い及ばずラストやられたな~と思いました。ネタバレしちゃうので詳しく書けませんが、負けた気分です。

萩原浩さんは初めて読みましたがなかなか面白いです。
他に『ママの狙撃銃』『さよならバースディ』読みました。
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by ruriwo_m | 2012-05-21 13:22 | 本・映画

『恋人よ』 野沢尚

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人生最高の時のはずの結婚式直前、妻にお腹のあかちゃんは別の男の子どもかもしれないと告げられる航平。同じ式場に、仕事から戻らない夫にこれからの結婚生活に不安を感じる愛永がいた。揺れる心の二人は運命のように出会い、半年後の再会を約束する。
半年後、航平の家の隣に愛永が夫と越してきた。航平の隣で驚きの顔を隠す妻。お腹のあかちゃんの父親は愛永の夫だったのだ。

こんな設定ないないありえなーい。
他の登場人物も近しい関係の人が次から次へと複雑に恋愛に絡んできてそうとう面倒くさいです。TVの恋愛ドラマって小説で読むと鬱陶しいな。(因みに鈴木保奈美主演だったそうです)
そう思いながら読み始めたのに頁を捲る手が止められません。あちこちで泣けてくるし。野沢尚恐るべしです。
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by ruriwo_m | 2012-05-15 15:00 | 本・映画