カテゴリ:本・映画( 117 )

『ぼくらの☆ひかりクラブ 下[中学生篇] 』 古屋兎丸

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中学生となったタミヤ達は、思考を諦めてしまったかのようにゼラに命ぜられるままロボットの製作に没頭する。
世界征服の野望に突き進むゼラ。そしてタミヤはそんなゼラのやり方に疑問の首をもたげ始め、自分がひかりクラブのリーダーなんだと強い意思をもつようになる。なのになぜゼラの暴走を止めることができず、あの残酷劇が生まれてしまったのか。。。『ライチひかりクラブ』の前日譚、中学生編です。

蛍光町の汚泥だらけの海で親友のダフ、カネダと共に永遠の友情を確認するタミヤ。ジャイボの捻れた愛情に背徳の夢を増幅させるゼラ。いつか訪れる対立を想うと切ないです。相反する二人ですが、私にはどっちも可愛い。
彼らにリアルに出会えたこと、私にとってとても幸せなことです。彼らを想うと苦しいです。これでひかりクラブの物語は全て終わりです。うれしくて、さみしい。
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by ruriwo_m | 2012-04-24 12:03 | 本・映画

『D坂の殺人事件』 江戸川乱歩

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春休み中から高校の野球部の練習に参加しているポークですが、監督さんから「トレーニングになるから」とチャリ通を命じられまして、毎日せっせと学校まで通ってます。千駄木にある長い坂道はたしかに脚腰鍛えられそうです。ここが江戸川乱歩の初期の傑作『D坂の殺人事件』の事件の現場となった団子坂です。
乱歩はネーミングの達人だったと思います。『陰獣』『屋根裏の散歩者』『人間椅子』『孤島の鬼』タイトルだけでそそられます。だいたい江戸川乱歩というペンネームからして冴えてますよね。
もしも『D坂の殺人事件』が『団子坂の殺人事件』だったとしたら今世まで読み継がれているか疑問ではないでしょうか。
トリックはびっくりするほど稚拙ですが、倒錯的嗜好で淫靡さが感じられる乱歩的といえる作品です。
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by ruriwo_m | 2012-04-04 14:00 | 本・映画

『第2図書係補佐』 又吉直樹

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よしもと芸人「ピース」の掴みどころのない方、又吉が送る「書評でない読書案内」
読書家で知られる又吉ですが、本の解説というより、「いつも傍らに本がある」と言うとおり、自身の生活・幼少期の想い出に深く密着した作りになっており、その暗さにシンパシーを感じたり(笑)また文章力が高いので読み物としてとても面白いです。本が読みたくなります。
又吉は国語の教科書の便覧から本読みが始まったそうです。私は何で本を読むようになったのかな~と考えると、小学校に入って友達と遊ばなければならない休み時間が怖く、教室にあった学級文庫をいつも机に入れて、休み時間になると学級文庫を読む人になってました。「クオレ」とか「シートン動物記」とか何度も読んで...暗い子だったな。そんな自分の切ない想い出も触発されるという、優れた本だと思います。
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by ruriwo_m | 2012-03-16 11:19 | 本・映画

『ひたひたと』 野沢尚

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ネット募集により集まった男女5人。閉ざされた部屋で自分の犯した罪を語りあう。心の深淵を覗かせる内容でしたが、募集をかけた人物の真の目的がきっと最後に明かされたと思うので、二人目の告白で終わってしまったのが残念です。
江戸川乱歩の『赤い部屋』を思い出しました。こちらも秘密の赤い部屋に集い、自分の犯罪歴をこちらはやや自慢大会のように語り合うという内容でした。余談ですが、ブログタイトルを最初は「赤い部屋」にするつもりだったのですが、検索したら同じタイトルがいっぱいありすぎてやめました。同じこと考えてる人ってたくさんいるんですね。

『群生』はまだプロットの段階ですが、これが非常に面白かったです。
商品として扱われ自殺してしまった息子の仇をうち殺人犯となった男が、自分が殺してしまった男の真の姿に興味を抱きその実像を追うため逃亡の旅に出る、ありそうでなかった設定から引き込まれます。
傑作になりそうな予感が余計に、結末を知り得ることができずとても残念です。
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by ruriwo_m | 2012-03-15 10:45 | 本・映画

『烈火の月』 野沢尚

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東京湾アクアラインの開発により急激に人口が増加し犯罪のるつぼとなった千葉県愛高市。その愛高警察に「笑いながら人を殴る男」の異名を持つ刑事、我妻がいた。
北野たけし監督『その男、凶暴につき』の原作となった作品です。とはいえ、映画化するにあたって北野監督はその原作をずたずたに崩壊させてしまったので(そのあたりの経緯はあとがきに書かれてます)別作品とみてよいと思います。が、北野作品が苦手な私...血みどろは好きでもリアルバイオレンスは苦手なので~...読まないで返そうかとも思ったんですが、読み始めたらやっぱり面白かったです。けどやっぱ男の人が好きそうな小説かも。
我妻の暴力が影響を及ぼす家族の崩壊が痛々しいです。人は明日がなくても生きていかなくてはならないのです。
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by ruriwo_m | 2012-03-15 10:12 | 本・映画

『呼人』 野沢尚

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呼人12歳。小学校の級友たちとマドンナをめぐり多摩川の源流を冒険する前半はスタンドバイミー的です。そして12歳のまま成長を止めた呼人。青年になっても中年になっても12歳の子どものまま。
それぞれの道を歩む級友たちのその後と呼人の謎を追う。
ミステリーであったりサスペンス的である部分もありますが、基本的に青春小説として読みました。なぜ僕は成長しないのか。なぜ母親は僕を捨て失踪したのか。苦悩する呼人は自分探しの旅に出発します。そこで自分は望まれて生を受けたことを知り、何があっても強く生きなければならないことを覚悟する力強いエンディングを迎えます。
こんなに強いカタルシルを人に与える野沢さんが自死されたことは受入れ難いことですが、本当の理由は本人にしかわからないことですね。永久に。
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by ruriwo_m | 2012-03-15 09:47 | 本・映画

『蚊トンボ白髭の冒険』 藤原伊織

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水道職人の達夫の頭の中にある日突然住み着いた蚊トンボ、その名も「白髭」
白髭に筋肉を操られ超人的な能力が備わった達夫は、闇の世界との闘争に巻き込まれていく。
他の人のレビューで「寄生獣」を思い出しましたと書かれてました。姫野カオルコの人面相古賀さんに取り付かれた「受難」も思い出しますね。
そんなSFかファンタジーがかった設定なのですが、お馴染みの気の強い女子とインテリヤクザの登場でしっかりいつものイオリン小説です。
ラストが隣人とインテリヤクザに助けられ解決するとの予想を裏切り、残酷チックに終わったのがとても意外でした。
蚊トンボの寿命は二日、消えゆく白髭が切ないです。

他に、遺作となった『遊戯』 読了しました。
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by ruriwo_m | 2012-03-09 14:23 | 本・映画

『てのひらの闇』 藤原伊織

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リストラを宣告された大手飲料会社宣伝部の堀江は会長の自殺から真相を掴むために単独で動き出す。
アウトローな主人公、インテリヤクザ、気の強い部下の女子と、イオリン節全開です。魅力的な人物ばかりで、いっつもおんなじだって嵌ると「そこがいいんじゃな~い」作品に惚れるってそういうことだと思います。
続編の『名残り火』も同様に面白かった~。堀江と、ダンナと離婚してしまった(原因は堀江!)部下の大原さんの微妙な関係がいいです。二人の恋の行方を読みたかったな~。イオリンが亡くなってしまって残念でなりません。続きは妄想するのみです。
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by ruriwo_m | 2012-03-07 15:03 | 本・映画

『父・金正日と私 金正男独占告白』 五味洋治

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東京新聞記者が昨年亡くなった北朝鮮トップの長男と偶然出会い、メールを通し信頼関係を築き、独占インタビューに至る。
金正男氏は留学先で長年西側教育を受け、国の経済開放を唱え、そのため父親から危険視され中国に身を寄せるようになったそうです。飢えた祖国の民衆の噂を耳にすれば心が痛み、父の後継者となった腹違いの弟に真の統率者となってほしいと願う、私達側からすると普通の感覚をもつ、しかも頭の良い人物に見受けられます。
厚いベールに閉ざされた北朝鮮の内情はとても興味のあるところですが、正男氏が身の危険を感じるので出版しないでほしいと要請していたにもかかわらずジャーナリスト魂?で出版を断行したような経緯もあり、中国の保護があるとはいえ少し心配になります。
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by ruriwo_m | 2012-02-07 11:01 | 本・映画

『共喰い』 田中慎弥

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「男と女」のことを書いているのに、まったく恋愛小説ではありません。「血」とか「業」とかのどろどろした世界観がたまらず、ぐいぐいと引っ張られるように読めました。
ろくでなしの父親、嫌悪しながらも似た道を歩む僕。救いのない物語が続きますが、あっぱれなのが、母親と父親の愛人、そして僕の彼女。弱者だった女達が鮮やかに切り返す姿に清々しさをも感じました。

芥川賞の記者会見を見て発売と同時に即買いです。この人は作家以外の何者にもなれない人なのだということがわかります。THE・文学者ってかんじ。小説も文学文学してます。若い子には受けないかもしれないけど、私は大好きなタイプです。
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by ruriwo_m | 2012-02-03 13:55 | 本・映画